Lang & Heyne KONRAD

 By : CC Fan
だいぶ御無沙汰してしまいました。
当サイトでもa-lsさんによるレポートが伝えられたラング&ハイネ(LANG & HEYNE)のイベントに参加し、直後の深夜フライトにて本業のヨーロッパ出張に出かけていました。
本業の後、早めの夏休みとしてスイスにより、目下の課題であるカンタロス(Kantharos)の相談、興味があった独立系メゾンの工房訪問など非常に興味深い体験をすることができたので追ってレポートいたします。

今回はラング&ハイネのイベントから、ラインナップの中で特に興味があったコンスタントフォース機構搭載のキャリバーVを搭載するコンラート(KONRAD)を取り上げます。



新作のゲオルグ(Georg:右)とコンラート(左)、コンスタントフォースから駆動されるセンターステップセコンドと31日から1日から順方向にジャンプするプログラード(Prograde)ポインターデイトを持ちます。
さらに、パワーリザーブインジケータを加え、ローマンインデックスのよりクラシカルなハインリッヒ(HEINRICH)というモデルもあります。
キャリバーVは三角形のトリゴナルブリッジを持つキャリバーVIと共通のレイアウトでコンスタントフォースをはじめとする機構を加えたムーブメントのようですが、複雑な方が番号が若いというのは面白いです。



ガンギ車と同軸に配置されたコンスタントフォース機構はあまり存在を主張しません。
その代わり、4番車からセンターセコンドへ動きを伝えるための伝え車とそのブリッジが"只者ではない"という凄みを見せます。
4番車はコンスタントフォースより上流のため、コンスタントフォースの脱進動作によって1秒に1回のステップ動作で回転します、この動きをそのまま(変速せず)センターセコンドに伝えるため、センターセコンドもステップセコンドになります。



マルコ氏がスマホでCAD図を見せながらコンスタントフォース説明してくださいました。
ガンギ車はひげゼンマイのみで脱進車につながっており、通常時はひげゼンマイに蓄えられたエネルギーで回転します。
ガンギ車についた三角形状のカムが回転することで、アンクルが左右に振られ、5振動(1秒)に1回、脱進車の爪を開放します。
爪が解放されると脱進車に4番車から回転が伝わり、回転によってひげゼンマイにエネルギーが蓄えられます。
アンクル逆側にある出っ張った部分はバランスをとるためのカウンターウェイトだそうです。

実装されている場所は違いますが、動作原理はカンタロスのものと同様、カムで制御されたアンクルが脱進車の爪を開放する仕組みです。


カンタロスのものも再掲します、こちらは4番車の位置に配されます。

原理的にはよりガンギ車に近いところで一定の力になるよう制御する方が良いと思われます。



コンスタントフォース機構自身はあまり目立ちませんが、その動きは見事な長さも持ったセンターセコンド針によって可視化されます。
脱進車の爪がアンクルの爪石にぶつかる衝撃で動くごとにわずかに振動する(ように見えた)針がレールウェイインデックスにピッタリ沿って動いていく様はいつまで見ていても飽きません。

またポインターデイトは個人的に文字盤上が騒がしくなりすぎるとあまりいい印象がありませんでしたが、このバランス感は好きです。



コンスタントフォースを覗き込もうとしましたが、よく見えませんね…
やはり機構そのものよりも、伝え車の動きと脱進音から楽しむものでしょうか。



トリゴナルブリッジによる立体的な構造も楽しめます。
素材は歯車にゴールド、ピニオンにスチールの組み合わせを使っており、この組み合わせが美観・耐久性ともにベストと考えているそうです。
ムーブメントの素材は伝統的な真鍮(Brass)で、社内でメッキまで行っているそうです。
伝統的と言えば洋銀は?と伺ったところ、むしろそちらはスイス的とのことでした。



最後にムーブメント側の集合写真を。
共通の意匠を持ちながら、それぞれが個性的です。

ノーブルスタイリングさんによる正式導入はもう少し後とのことですが、今から楽しみです!

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