時計愛好家のためのヨーロッパ(国際時計博物館編)by k.hillfield

 By : Guest Blog

あけましておめでとうございます。

今年最初の旅先は国際時計博物館です。

国際時計博物館は世界最大の時計博物館の一つであり、すばらしい時計のコレクションを誇ります。

チューリッヒとジュネーブの中間にあるビール/ビエンヌ。そこからローカル線に乗り換え約1時間。
終点のラ・ショー=ド=フォンを目指します。


●道中はいつもシュプリングリのチョコレート。サンドイッチと共に。(著者による撮影。)


●ローカル線の沿線は牧歌的な風景が続く。途中、サンティミエの駅からは、ロンジンの社屋も見える。(著者による撮影。)


●国際時計博物館入口。国際時計博物館のすぐ近くにはジャケドローの名前を関するジャケドロー通りがある。(著者による撮影。)

 
時計産業の中心地でもあるラ・ショー=ド=フォンに国際時計博物館はあります。

国際時計博物館は、日時計(紀元前4000年頃)から、柱時計、置時計、懐中時計、機械式腕時計、クオーツ時計に至るまで、全て時計の歴史を見ることができます。(国際時計博物館のホームページによると約4500点の時計が展示されているそうです。)

現在の館長は高名なウォッチメイカー、ルートヴィッヒ・エクスリン氏です。
同氏の代表作、ユリスナルダンの天文三部作(アストロラビウム・ガリレオ・ガリレイ、プラネタリウム・コペルニクス、テリリウム・ヨハネスケプラー)は、1980年代から90年代にかけてそれぞれ発表され、クオーツショック以後の機械式時計の新しい在り方を示したモデルと言えます。また、近年ではゼニスのアニュアルカレンダーのモデルの設計も行いました。

(参考)ゼニス「エル・プリメロ ウィンザー アニュアルカレンダー」
http://www.zenith-watches.com/jp_jp/elprimerowinsor



国際時計博物館には様々な時計が展示されているのですが、大きく分けて、時計史を辿るセクションと、機能別の腕時計のセクションの二種に分かれます。

まずは時計史を巡るセクションのハイライトをお送りさせていただきます。

このセクションでは、日時計(紀元前4000年頃)から、柱時計、置時計、懐中時計、腕時計に至る変遷を、大量のコレクションとともに見ることができます。


●日時計は紀元前4000年頃から使われている時計。国際時計博物館では、実際に日時計の仕組みを体験可能。(著者による撮影。)


●絢爛豪華な装飾と、美しいルイ針を有する時計。(著者による撮影。)


●依頼人の個性が反映されたであろう珍しい形の携帯用の時計。(著者による撮影。)


●懐中時計色々。ゼニス、オメガ、ヴァシュロンの広告と。(著者による撮影。)


●オメガの懐中時計。(著者による撮影。)


●ジャガー・ルクルト「アトモス」。空気の温度差が動力源となっている限りなく永久機関に近い時計。マントルクロックと呼ばれ、安定性のある暖炉の上に置いて使うことが推奨されている。1928年に発明。(著者による撮影。)


●エルメトを始めとする様々な携帯時計。(著者による撮影。)


●フリーメイソンの時計。フリーメイソンの時計は様々なブランドから発表されたが、ウォルサムの腕時計がコレクターアイテムとして有名。(1950年代製造。写真右側。)1990年代には復刻版でました。(著者による撮影。)


●コルム「ゴールデンブリッジ」。独立時計師協会(AHCI、通称アカデミー)の設立メンバーであるヴィンセント・カラブレーゼによる設計。1980年代に発表されたモデルで、本体においては香箱、輪列、てんぷが縦一列にシンプルに並んでいる。独創的なアイデアとそれを実現する技術力により、ミニマリズムの美を体現した時計である。(著者による撮影。)


●時計職人の作業机。(著者による撮影。)



次に、機能別の腕時計のセクションに移ります。

ここでは様々な腕時計が機能別に展示されています。



●トゥールビヨンのセクションより。オーデマピゲの世界最小のトゥールビヨン搭載腕時計(1986年発表当時)。(著者による撮影。)


●カレンダーとパワーリザーブのセクションより。ジラールペルゴ「エクエーション・ペルペチュアル」。1986年発表。永久カレンダーとムーンフェイズの気品あるフェイスを有する。(著者による撮影。)


●クロノメーターのセクションより。クロノメーター・フォルジェの時計(中央)。1980年代後半に鮮烈なデビューをするも若くしてこの世を去ってしまった天才時計師の作品もここで見ることできる。


●リピーターのセクションより。ケレックのクオーターリピーター。現在はブライトリングの傘下のケレックだが、1990年代にはファイブミニッツリピーターやクオーターリピーターを始めとする複雑時計を自社名義で比較的安価で発売していた。(著者による撮影。)


●多機能クロノグラフのセクションより。ポールピコの時計。1976年創業の比較的歴史の浅いメーカーではあるが、クラシックなデザインは1990年代から2000年代にかけて日本でも流行した。現在でも当時の時計を求めるファンは多い。(著者による撮影。)


●音叉時計のセクションより。ブローバ「アキュトロン」。機械式時計からクオーツ時計の変遷期(1960年代から1970年代)に生まれた音叉式時計の代表モデル。(著者による撮影。)


●クオーツ時計黎明期のセクションより。ハミルトン「パルサー」。1972年発売。(著者による撮影。)


●デジタル時計のセクションより。オメガのレベルソこと「エクイノックス」。1970年代から1980年代に製造されたモデル。(著者による撮影。)

参考記事:ジャガー・ルクルト以外のレベルソ https://watch-media-online.com/blogs/974/


●多機能時計のセクションより。日本の会社であるシェルマン「グランドコンプリケーション」も展示されている。ムーブメントはシチズン。(著者による撮影。)

 

館内の出口にはお土産や書物のコーナーもあります。

お土産コーナーではクロードメイランの時計が多数展示されていたのが印象的でした。

 
●書物のコーナー。(著者による撮影。)

 

国際時計博物館は時計愛好家の方はもちろん、そうでない方も十分楽しめる場所です。

膨大なコレクションは一日いても飽きないほどです。

ちょっと遠いのがネックですが、充分訪れる価値はあると思います。

 

国際時計博物館 スイス政府観光局

https://www.myswitzerland.com/ja/mih-international-clock-museum.html

 

 

 

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