Christophe Claret X-TREM-1

 By : CC Fan
クリストフ・クラーレのラインナップは大きく4つのラインに分かれています。
カンタロス(Kantharos)はトラディショナル・コンプリケーション・ウォッチ(TRADITIONAL COMPLICATIONS WATCHES)のラインに属しています。
このラインは"Reinterpreting Haute Horlogerie."のスローガンに象徴されるように、高級時計製造(Haute Horlogerie)を尊重し、再解釈した作品を製作しています。

今回はエクストリーム・ウォッチ(EXTREME WATCHES)ラインからX-TREM-1(エクストリーム ワン)というピースを紹介したいと思います。
このラインは"Pushing the boundaries of time."と、今までの限界を超えるための作品を製作しています。

こちらもカンタロスと同様、バーゼルワールド発表用のプロモーションムービーが作られていますので、まずはそちらをご覧ください。


X-TREM-1プロモーションムービー (埋め込みプレイヤーが再生できない場合、こちらからYouTubeでご覧ください)

一見しただけでは、どのように時間を読むのかすらわからない時計です。
普通の時計で文字盤や時分針があるべき場所には、通常あまり目にすることのない巻き上げ輪列と香箱、コハゼが可視化されています。


X-TREM-1 (7時5分ぐらいを表示)

時間と分はそれぞれサイドに備えられたリニアレトログラード動作をするボールで表示されます。
このボールはムーブメント本体とは直接機械的には繋がっておらず、機械式時計の大敵である磁力を使ってムーブメントから駆動されています。

磁力対策を動画とプレスリリースから探ってみると、まず磁石をハの字に配置することで、ボールのみをとらえる磁場を形成し、そのままでは反対側に漏れる磁束は金属を使った磁気回路内に閉じ込めムーブメントまで到達しないようにし、さらにムーブメントの地板を非磁性体のチタンで作ることで、万全を期しているようです。

磁石はレールに沿って動くことができ、ダイマーニ(ポリエチレン系)樹脂のワイヤーで引っ張られます。
ワイヤーの両端はレトログラードが戻るときに必要な引っ張り力を作るためのバネを備えた糸巻きとスネイルカムとレバーで駆動される動きを作る糸巻きに繋がっています。
スネイルカム側の糸巻きにはボールの位置合わせをするための調整機構が備えられています。

香箱が二つありますが、両方は並列に繋がっているわけではなく、、片方が30度の傾きをつけたフライングトゥールビヨンを駆動する脱進機専用、もう片方が表示機構を動かすための表示専用となっています。
コンスタントフォースとほぼ同様の制御カムでアンクルを動かして始動歯車を脱進する機構を使い、脱進機の輪列から表示輪列へタイミングだけ送るシステムになっています。
これにより、表示輪列によるトルク変動が脱進機には伝わらないようになっています。

サイドに表示用のチューブがあり、通常のリュウズは使えないため、ケースの裏に引き起こし式のリュウズが備えられています。
これは巻き上げ用と時間調整用が二つに分かれています。
また、4Nなどと同様、時間だけを1時間ずつ進めるプッシャーがあり、時差の修正は素早く行えます。


ケースバック 側から

見辛いですが、制御カムとアンクル、始動歯車といった部品や、レトログラード機構、レールの上を動く磁石などすべての機構を裏から堪能することができます。


腕に乗せる

ケースサイズは40.80mm×56.80mm×15mmですが、大きいとは思いますが、カーベックスケースかつベルトがネジで固定されていて暴れないので装着感は良いです。
分かりにくいですが、12時の位置にもサファイヤクリスタルの窓が用意されており、糸巻きを観察することができます。
さらに上には1時間ごとの修正を行うプッシャーがあります。

X-TREM-1はケース仕様ごとに8台の限定ですが、ほぼ毎年のペースで新色が追加されるので人気はあるようです。
初めて発表されたのは2012年のバーゼルワールドですが、その時用意した限定数は会期中にすべて売れたとか。

今年(2016年)の新作として、"ダマスカス"ステンレススチールというタイプが登場しました。
この夏にファクトリーを見学する機会を得まして、その時に拝見することができました。


X-TREM-1 ダマスカスステンレススチール

ダマスカスの名の通り、縞模様が入っています。
この模様は色だけではなく、片方がザラザラで、もう片方が鏡面になっています。
模様はピースごとに異なり、唯一無二だそうです。


ケースバック側から

写真では見切れてしまっていますが、黒色のピースではピンバックルタイプのDバックルでした。
ダマスカスではカンタロスと同様のベルトを切断するタイプのDバックルに変わったようです。

関連 Web Site (メーカー・代理店)

CHRISTOPHE CLARET
http://www.christopheclaret.com/

Noble Styling Inc.
http://noblestyling.com/