マルコ・ラング コンプリケーション「セブン・スフィアズ」を発表~7重入れ子球面リングで天体の世界を表現

 By : CC Fan

自身のファミリーネームを冠したブランドから独立、再び一人の時計師に戻ったマルコ・ラング


初作「ツヴァイゲズィヒト」センターセコンドの「普通の時計」面とムーブメント機構を楽しめるアップサイドダウンを両立させた機構を持っています。
ムーブの構造についてCADベースで語ったり、納品をレポート(1号機2号機)したりしてきました。

ツヴァイ自体が「ベースムーブメント」的に見えたため、次作はこれにコンプリケーションを追加したものか?と考えていたら全く新しい構造で予想をはるかに上回る超大作、「セブン・スフィアズ」が発表されました。

英語情報をもとに抄訳ブログでレポートします。
 
ムーブメント中央には7重のネスト(入れ子構造)の球面リングによって複雑に回転する脱進機ユニットが配置され、その周りをリング状のギアに取り付けられた「フライング」時分針が取り囲んでいる構造です。

この多重の球面リングは1997年に公開されたカール・セーガン原作の映画、「コンタクト」に登場する異性文明の機械の描写に26歳のマルコが魅了された経験からインスピレーションを得ています。

映画の機械ではリングは3重でしたが、プトレマイオスによる天動説(地球中心説)の7つの惑星(月、水星、金星、太陽、火星、木星、土星)、コペルニクスによる初期の地動説の7球体説(水星、金星、地球と月、火星、木星、土星、その他の恒星)といった世界観から発想を得て7という数が選ばれました。

2022年に「ツヴァイゲジヒト-1」を制作しながら順当な進化形である「ツヴァイゲジヒト-2」を作るべきか、ずっと考えていた全く新しい「セブン・スフィアズ」に取り組むか悩んだマルコは後者を選択、3年半の研究開発を経てプロトタイプが動き出しました。

この時計は時計師マルコ・ラングにとって頂点であり、今までの時計製造とは異なる領域へ挑戦する勇気であり、内なるヴィジョンを現実の形にするまでの姿勢そのものを象徴しているでしょう。


プラチナ製のケースはドーム状の風防と組み合わされ、「スフィア」が回転するスペースを確保しています。
ケースサイドにはオプションによってエングレーブを施すことも可能です。


「スフィア」がムーブメントの真ん中に陣取っているため、香箱は外周部に4つの並列香箱に分割されて配置されています。
駆動の流れを見ていきましょう。



香箱から駆動される12時間(1440分)で1周するボールベアリング支持のリングを始点とし、それぞれの球状リングで加速していきます。

それぞれのリングの軸は30°ずつオフセットしており、6つの2:1加速と1つの2.25:1加速、合計で144:1の加速輪列、最内周は10分で1周することが読み取れます。

12時間リングから時合わせ機構を経て時針が駆動され、それを更に1:12に加速したものが分針となります。



角度を変えてみると4つの香箱、そこから4つの伝え車で12時間リングに力が伝わっている様子が読み取れます。

リュウズの近く、3時位置にある輪列は計時用の12時間リングと針を駆動する表示用の12時間リングの位相を調整する時合わせ機構(通常の時計の筒カナに相当)であり、逆の9時位置にあるM型のブリッジは表示用12時間リングから12倍に加速して分針リングを駆動する輪列と考えられます。



巻き上げ輪列は分かりやすいです。

まだ「ふんわり」な所もありますが、時計師マルコ・ラングの「集大成」なのは間違いないでしょう、実機を見たみたい!
https://www.marcolangwatches.com/en/the-seven-spheres/