カンタロスの全体インプレッション
By : CC Fan私にとってカンタロス(Kantharos)はいろいろな意味で特別です。
そのため、書き続けるといつまででも書けそうですが、この記事で全体の印象、次の記事で2年使用した使用感について書いたら一旦区切りとしたいと思います。
全体のデザインコードは2011年のバーゼルワールドで発表された"21 Blackjack"から採用されている、シリンダーケースとルビー針を主体としたものです。
詳細は別途まとめたいですが、Blackjackの前後でクラーレの作風は大きく変わり、オリジナリティが確立されたと思っています。
文字盤のデザインは航空機のカウンターをデザインモチーフにしたクロノグラフ積算計・サファイヤブリッジで可視化されたコンスタントフォース機構をメインとし、全体をSF調というか近未来的なデザインでまとめています。
機械のことを散々語った後に言うのもなんですが、実はカンタロスを購入するに至った一番の理由はこのデザインです。
純正ボックスに収まったカンタロス
赤色を纏った目立つ針はルビーとPVD処理されたチタンを組み合わせた凝った構造で、工房内で内製されています。
針の内製の様子(クリストフ・クラーレマニュファクチュール写真より)
色によってコランダム(青:スピネル、赤:ルビー)とセラミック(ブラック)を使い分けます。
クラーレが得意とするサファイヤブリッジと同様、工房内の硬質素材用加工機でカットした部品を手作業でチタン部分と組み合わせていきます。
少数生産とはいえ、針を内製化しているのは相当珍しいですが、あんな凝った構造の針を外注に頼んでも作ってくれそうにないので、内製化するしかないのかもしれません。
リセット時に大きな加速度がかかる上に細いクロノグラフ針は流石にルビーではなく、チタンに塗装を施したものです。
この針自体がとても主張するデザインですが、組み合わされたクロノグラフ積算計も負けていません。
航空機のメーターをモチーフに、サファイヤクリスタルのディスクを組み合わせたもので、針ではなくディスク全体が回って経過時間を表示します。
クロノグラフ積算計の仕組み
この積算計を目、コンスタントフォースのサファイヤブリッジを口(またはクチバシ)と見立てると、積算計の回転に伴い、表情が変化する鳥のように見え、非常にユニークです。
また、実用的には太い時分針が積算計にかかってしまってメインの赤色の軸が見えないときでも、黒と白の塗り分け部分を見ることで積算計を読み取ることができます。
私は複雑時計が好きな割には、文字盤上がゴチャゴチャ針で覆われているのは嫌いという捻くれた性格なので、シンプルなこのデザインはとても好きです。
文字盤自体も凹凸を生かした立体的な作りになっています。
文字盤には蓄光塗料が塗布され、暗闇での視認性も確保しています。
蓄光発行の様子(12:13)
すべての蓄光塗料は文字盤をいったん彫り込んだ後に流し込む作り方で作られています。
ただ、持続性はそんなにないため、実用というより夕暮れ時に表情の変化を楽しむぐらいになると思います。
ケース直径は45mm、厚みは15.83mmと非常に大きいデカ厚ですが、基本的にケースの大部分がチタンで作られており軽いこと、ベルトが暴れないようにケースに対して一定角度で固定される構造のおかげでおそらく想像されるより装着感は良いです。
また、クラーレのラウンドケースのピースはほとんどが45mmですが、ケースは共通ではなく細部がすべて異なります。
カンタロスのものは手首側がすぼまっている形状なので、それも装着感の良さにつながっています。
ただ、どうしても絶対的な大きさがあるため、クラーレが日本であまり一般的ではない理由の一つだと思っています。
ちなみに私の個体の重量は114.1gでした。
重量測定 (TANITAの校正済みクッキングスケールを使用)
私のカンタロスはそのまま見るとプロモーションムービーにも登場しメディアへの露出も多かったWGバージョンに見えますが、少し異なります。
まず、カンタロスのラインナップは下記の5種類になります。
私のものは、903のケース(オールチタンケース)に902の文字盤を搭載したスペシャルバージョンです。
詳細は割愛しますが、色々なご縁を経て実現することができました、あらためて感謝します。
クラーレの想定する組み合わせではないのでしょうが、チタンのみの単一素材で仕上げによって各部の表情を変えたケースと、ロジウム仕上げのクロノグラフカウンター・チャコールグレーの文字盤の対比は気に入っています。
また、なんといってもルビー針の強烈な個性は何物にも代えがたく、ヤミツキになります。
他のブランドを見ても大体"針が物足りない…"と思ってしまうぐらいで、中毒なのかもしれません。
ベルトは前掲の写真でもわかる通り、ケース本体とベルトの間に隙間がなく、一定角度で固定される機構で、特殊なバネ棒と中子入りのベルトがラグ側から生えたピンと噛み合う構造になっています。
クラーレ曰く、通常のバネ棒よりもケースを傷つけにくい構造とのことです。
ベルト交換(清掃)の様子 上:専用のドライバー(ロゴ入り) 下:バックル部分
バックルは両開き式のDバックルが標準で、使用者に合わせてベルトをカットするタイプです。
ラバーでは見かけますが、アリゲーター革でやるのは相当珍しいのではないでしょうか。
以前はもう少し標準的なピンバックル互換のDバックルだったようですが、こちらの方が使いやすいということで統一されたようです。
一見奇をてらっているようですが、確かに使いやすく、ちょっとした時にもつけやすいです。
バックルに備えられたボタンを使うことで、片側5mmずつ、両方で10mmまで長さを延長することができます。
このベルトカットのためだけにやたら物々しい"ギロチン"が用意されているのも、クラーレの完璧主義なのかなと思います。
ギロチン(ロゴ入り)
流石にこれは代理店に1台ずつでユーザーには供給されないようです。
2年間付き合っていますが、いまだに全容は見通せていないのかもしれません。
最後に、日常使いした感想などをまとめたいと思います。
関連 Web Site (メーカー・代理店・図案記載のプレスシート)
CHRISTOPHE CLARET
http://www.christopheclaret.com/
Noble Styling Inc.
http://noblestyling.com/
CHRISTOPHE CLARET Download
http://www.christopheclaret.com/en/download.php
Kantharos日本語プレスリリース(図版はここから引用)
http://www.christopheclaret.com/uploads/downloads_document_file/CLARET_Kantharos_JP.pdf
そのため、書き続けるといつまででも書けそうですが、この記事で全体の印象、次の記事で2年使用した使用感について書いたら一旦区切りとしたいと思います。
全体のデザインコードは2011年のバーゼルワールドで発表された"21 Blackjack"から採用されている、シリンダーケースとルビー針を主体としたものです。
詳細は別途まとめたいですが、Blackjackの前後でクラーレの作風は大きく変わり、オリジナリティが確立されたと思っています。
文字盤のデザインは航空機のカウンターをデザインモチーフにしたクロノグラフ積算計・サファイヤブリッジで可視化されたコンスタントフォース機構をメインとし、全体をSF調というか近未来的なデザインでまとめています。
機械のことを散々語った後に言うのもなんですが、実はカンタロスを購入するに至った一番の理由はこのデザインです。
純正ボックスに収まったカンタロス
赤色を纏った目立つ針はルビーとPVD処理されたチタンを組み合わせた凝った構造で、工房内で内製されています。
針の内製の様子(クリストフ・クラーレマニュファクチュール写真より)
色によってコランダム(青:スピネル、赤:ルビー)とセラミック(ブラック)を使い分けます。
クラーレが得意とするサファイヤブリッジと同様、工房内の硬質素材用加工機でカットした部品を手作業でチタン部分と組み合わせていきます。
少数生産とはいえ、針を内製化しているのは相当珍しいですが、あんな凝った構造の針を外注に頼んでも作ってくれそうにないので、内製化するしかないのかもしれません。
リセット時に大きな加速度がかかる上に細いクロノグラフ針は流石にルビーではなく、チタンに塗装を施したものです。
この針自体がとても主張するデザインですが、組み合わされたクロノグラフ積算計も負けていません。
航空機のメーターをモチーフに、サファイヤクリスタルのディスクを組み合わせたもので、針ではなくディスク全体が回って経過時間を表示します。
クロノグラフ積算計の仕組み
この積算計を目、コンスタントフォースのサファイヤブリッジを口(またはクチバシ)と見立てると、積算計の回転に伴い、表情が変化する鳥のように見え、非常にユニークです。
また、実用的には太い時分針が積算計にかかってしまってメインの赤色の軸が見えないときでも、黒と白の塗り分け部分を見ることで積算計を読み取ることができます。
私は複雑時計が好きな割には、文字盤上がゴチャゴチャ針で覆われているのは嫌いという捻くれた性格なので、シンプルなこのデザインはとても好きです。
文字盤自体も凹凸を生かした立体的な作りになっています。
文字盤には蓄光塗料が塗布され、暗闇での視認性も確保しています。
蓄光発行の様子(12:13)
すべての蓄光塗料は文字盤をいったん彫り込んだ後に流し込む作り方で作られています。
ただ、持続性はそんなにないため、実用というより夕暮れ時に表情の変化を楽しむぐらいになると思います。
ケース直径は45mm、厚みは15.83mmと非常に大きいデカ厚ですが、基本的にケースの大部分がチタンで作られており軽いこと、ベルトが暴れないようにケースに対して一定角度で固定される構造のおかげでおそらく想像されるより装着感は良いです。
また、クラーレのラウンドケースのピースはほとんどが45mmですが、ケースは共通ではなく細部がすべて異なります。
カンタロスのものは手首側がすぼまっている形状なので、それも装着感の良さにつながっています。
ただ、どうしても絶対的な大きさがあるため、クラーレが日本であまり一般的ではない理由の一つだと思っています。
ちなみに私の個体の重量は114.1gでした。
重量測定 (TANITAの校正済みクッキングスケールを使用)
私のカンタロスはそのまま見るとプロモーションムービーにも登場しメディアへの露出も多かったWGバージョンに見えますが、少し異なります。
まず、カンタロスのラインナップは下記の5種類になります。
リファレンス | ケース素材 | 針 | 文字盤の仕上げ | クロノグラフカウンター | |
MTR.MBA13.901 | レッドゴールド PVDチタン |
レッド | チャコールグレー | ピンクゴールド | |
MTR.MBA13.902 | ホワイトゴールド PVDチタン |
レッド | チャコールグレー | ロジウム | PV |
MTR.MBA13.903 | チタン | レッド | ロジウム | PVDブラック | |
MTR.MBA13.904 | PVDチタン | ブルー | チャコールグレー | PVDブラック | |
MTR.MBA13.905 | レッドゴールド PVDチタン |
ブラック | ピンクゴールド | ピンクゴールド |
私のものは、903のケース(オールチタンケース)に902の文字盤を搭載したスペシャルバージョンです。
詳細は割愛しますが、色々なご縁を経て実現することができました、あらためて感謝します。
クラーレの想定する組み合わせではないのでしょうが、チタンのみの単一素材で仕上げによって各部の表情を変えたケースと、ロジウム仕上げのクロノグラフカウンター・チャコールグレーの文字盤の対比は気に入っています。
また、なんといってもルビー針の強烈な個性は何物にも代えがたく、ヤミツキになります。
他のブランドを見ても大体"針が物足りない…"と思ってしまうぐらいで、中毒なのかもしれません。
ベルトは前掲の写真でもわかる通り、ケース本体とベルトの間に隙間がなく、一定角度で固定される機構で、特殊なバネ棒と中子入りのベルトがラグ側から生えたピンと噛み合う構造になっています。
クラーレ曰く、通常のバネ棒よりもケースを傷つけにくい構造とのことです。
ベルト交換(清掃)の様子 上:専用のドライバー(ロゴ入り) 下:バックル部分
バックルは両開き式のDバックルが標準で、使用者に合わせてベルトをカットするタイプです。
ラバーでは見かけますが、アリゲーター革でやるのは相当珍しいのではないでしょうか。
以前はもう少し標準的なピンバックル互換のDバックルだったようですが、こちらの方が使いやすいということで統一されたようです。
一見奇をてらっているようですが、確かに使いやすく、ちょっとした時にもつけやすいです。
バックルに備えられたボタンを使うことで、片側5mmずつ、両方で10mmまで長さを延長することができます。
このベルトカットのためだけにやたら物々しい"ギロチン"が用意されているのも、クラーレの完璧主義なのかなと思います。
ギロチン(ロゴ入り)
流石にこれは代理店に1台ずつでユーザーには供給されないようです。
2年間付き合っていますが、いまだに全容は見通せていないのかもしれません。
最後に、日常使いした感想などをまとめたいと思います。
関連 Web Site (メーカー・代理店・図案記載のプレスシート)
CHRISTOPHE CLARET
http://www.christopheclaret.com/
Noble Styling Inc.
http://noblestyling.com/
CHRISTOPHE CLARET Download
http://www.christopheclaret.com/en/download.php
Kantharos日本語プレスリリース(図版はここから引用)
http://www.christopheclaret.com/uploads/downloads_document_file/CLARET_Kantharos_JP.pdf
BRANDS :
MODELS :
COMMENTS
コメントを投稿する
※ 匿名(ニックネーム可)での投稿も可能となっております。