スイス取材紀行 ヴォーシェ・主目的・チャペックホームパーティー

 By : CC Fan
チャペック社CEOのザビエル(Xavier de Roquemaurel)氏から申し出があったヴォーシェ・マニュファクチュール・フルリエ(VAUCHER Manufacture Fleurier)訪問のために早朝に宿をチェックアウトし移動しました。
ジュネーブ駅はそれなりに混雑していましたが、日本の通勤ラッシュに比べれば天国のよう。



ジュネーブからスイス国鉄のIC(Inter City)に乗り込み約1時間、ヌーシャテル(Neuchâtel)に到着です。



ザビエル氏と合流してチャペックの社用車ことザビエル氏の自家用車に乗り込みます。
ヴォーシェがどこにあるのか正確には把握してなかったのですが、フルリエまでは"車で約40分"とのこと。



走り始めて10分後、ザビエル氏が忘れ物をしたことが発覚し、一度ヌーシャテルに戻りました。



牧歌的な風景を抜け、ヴォーシェに到着。
現代的な建物です。



"忘れ物"こと時計とムーブメントを入れたボクセルボックスを片手に乗り込むザビエル氏。



工房に入るために白衣に着替えます。



複雑時計を組み立てるセクションでSXH3を分解します。
どこかで見た方々がいるな…とおもったら、時計専門のYouTubeチャネルTheWATCHES.tvの取材!

もともと取材する予定が入っていたため、ザビエル氏の計らいで急遽私も参加させていただけたようです。
ヴォーシェ側の計らいで、日本人時計師の浜口尚大氏にもご同席いただき、氏からお話を伺えました。



時計師と談笑するザビエル氏、手前の方は…?



TheWATCHES.tvが用意した照明に便乗させていただき、いつもよりクリアに撮れている気がします。



各机に置いてあるタイムグラファーも最新型、記録を取り続けパワーリザーブ残量による歩度変化を測定するタイプもありました。

ザビエル氏がTheWATCHES.tvと話している間、浜口氏にお話を伺いました。
ヴォーシェは高級機専門のムーブメントメーカーで年産1万個程度、大小さまざまな高級ブランドにムーブメントを供給しています。
カール・スッキー & ゾーネ(Carl Suchy & Söhne)のワルツNo.1(Waltz No.1)もその一つ、エクストラシンマイクロロータームーブメントVMF5401を搭載しています。
カール・スッキーはヴォーシェ標準仕上げでしたが、相談によって条件が折り合えばブリッジまでカスタマイズしたエクスクルーシブ仕様も制作可能とのこと。

チャペックが採用した10振動垂直クラッチクロノグラフムーブメントは姉妹会社のパルミジャーニ・フルリエを除けば採用しているのは現時点ではチャペックのみ。
開発開始は2011年、7年近くかけた大作だそうです。
カンタロス(Kantharos)も開発開始はそれぐらいで、その時期は業界的にクロノの需要があったそうです。



ヴォーシェ専用という自動検査機械。
ムーブメント単体とケーシングした時計両方に対応し、防水検査・パワーリザーブ試験・歩度試験を自動で行います。



見えませんが、一番奥に防水検査用の加圧装置があり、円筒状のものはパワーリザーブ試験用のワインダー、手前の二つがタイムグラファーです。
右側に見えている白いものがムーブメントやケーシング済みの時計を収めたコンテナで、ロボットアームが引き出して各検査機にセット、テストが終わったら入れ替え…を繰り返します。



コンテナは一度に500個を投入可能、セット後は自動でテストが行われ正常(OK)と異常(KO)に分類されて出力されます。
長期の観察が必要なパワーリザーブ試験なども人が介入することなく行えるため検査効率は良さそうです。
ムーブメントについてはすべてこの試験機を通過してから出荷されるそうです。



設計部門で撮影中。
改めて驚いたのはザビエル氏のコミュニケーション能力、まるで同僚のように設計エンジニアの方々と親しげに話していました。
彼の紹介でSXH3のCADを見ながらお話を伺えたので別途報告いたします。



二時間足らずの滞在でしたが、非常に興味深い訪問となりました。
浜口氏ともお話しさせていただき、次はぜひヴォーシェの取材としてきっちり1日予定をとって伺いたいです。

ヴォーシェからル・ロクル(Le Locle)まで戻り、いったんザビエル氏とは別れ、関口氏と合流しクリストフ・クラーレへ。
旅の"主目的"である時計の受け取りです。



どちらも素晴らしい!
クラーレ社のニコラともランチをしながら今後の日本についての相談、なかなか折り合いはつきませんが、私は手弁当でやるので協力してほしいという旨は取り付けられました。
こちらも別途アナウンスします。



デテントということでクラーレ社長が出してきたデテントトゥールビヨンの原理模型。
板ばねによってデテントレバーが保持されているスプリング・デテントという形式です。
板ばねなので調整が難しいですが、調整してしまえば摩擦が発生する軸がなく、バネ定数のみなで安定しそうです。



テクニカルディレクターのパロ(Palo)氏から今回発見された新事実についても説明がありました。
非常に真摯に対応していただき、感謝しています。



うーん、でかい…



ニコラの車でヌーシャテルまで送っていただきました。
車中でも日本のマーケットに対するアップデート、次はまた日本で会おうということに。



ヌーシャテルの拠点、オーベルジュ・イン(Auberg'inn)、17世紀に建てられた由緒のある建物を使ったホテルです。

今回の取材紀行にあわせて出張の日程を組んでいただいたノーブルスタイリング葛西氏と合流し、チャペックヌーシャテルオフィスことザビエル氏の自宅へ。



ヌーシャテルはどこを通っても絵になる街です。
雨上がりの濡れた石畳。



雨と寒さでBBQではなく、屋根裏部屋のリビングでパーティーを。



戦略について相談する葛西氏とザビエル氏。



ディナーのワインを選ぶのと新しい家族を紹介すると地下室へ向かいます。



亀!
偶然にも葛西氏も亀を飼っているということで亀トークで盛り上がるお二人。



満身の笑み。



ザビエル氏が日本土産として買ったペーパークラフトをお子様が組み立てたものを見ながらしばし談笑。
ザビエル氏はアグレッシブなプランをいくつも持っているようでこれからにも期待できます。



メインディッシュはラム肉のステーキ。
会話を楽しみ、取材というよりただの飲みに…
このアットホームさは他のブランドではなかなか味わえません。



帰り際、見せていただいた子供の亀。
ここから大きく育つそうで、チャペックも同様に育ってほしい…とオチがついたところで本日はここまで。