Basel World 2017 : CZAPEK実機写真

 By : CC Fan
ニュースでお伝えしたように、チャペック(CZAPEK & Cie)はBasel worldにて、ブランド初のトゥールビヨン、プラス・ヴァンドーム(Place Vendôme)を発表しました。
今回、私は現地に行くことはかないませんでしたが、参加したa-lsさんから頂いた実機写真を見ながら気が付いたことなどを書きたいと思います。

まずは新作のプラス・ヴァンドームです。



初作、ケ・デ・ベルク(QUAI DES BERGUES)でも使われた、ナポレオン三世の懐中時計No3430の4時30分と7時30分位置のサブダイヤルを持った特徴的な意匠をトゥールビヨンにあてはめています。
視認性などとの兼ね合いか、時分針もサブダイヤル扱いになり、12時位置に配置されています。

4時30分位置にはディスク表示のセカンドタイムゾーン、プレス写真ではわからなかったのですが、ブリッジがインジケーターを兼ねており、先端に矢印の形状が彫り込まれています。
色的にスーパールミノバかもしれません。

写真から判断する限り、6時位置のデイ&ナイトインジケーターはセカンドタイムゾーン側に同期しているようです。



別角度から。
ケ・デ・ベルクと同様にベゼルの幅を確保したデザインです。
一枚の文字盤ではなく、サブダイヤル×3という構造になったため、サブダイヤル以外の部分(ムーブメントの地板がそのまま露出)は一段下がっており、ベゼルからムーブメントへ繋がる面はすり鉢状になっています。



トゥールビヨンとセカンドタイムゾーンはベゼルとすり鉢の部分にはみ出ており、風防もそれに合わせて作られる複雑な構造になっています。



リング状の時分文字盤は"グラン・フー"エナメルでローマン・インデックスを書いています。
針はチャペックの特徴となっているフルール・ド・リス形状で、プレスリリースには"ローズゴールド"との記載がありますが、実機(とプレス写真)はどうも青色のようです。

溝状の表示ははパワーリザーブインジケータです。



ケ・デ・ベルクでも段差付き文字盤のモデルは段差を活かした立体的な表現を行っていましたが、こちらはさらに立体的になっています。
ムーブメント地板部分とブリッジの取り付け部分はケ・デ・ベルクのSXH1と同様にサンドブラストで仕上げられています。
また、ポリッシュ面とサンドブラスト面でのコントラストを強調しているように見えます。
個人的には文字盤が少なく地板が露出するタイプはあまり好んでいませんでしたが、この表現は好きです。



ムーブメント側です。
7日巻でダブルバルだったケ・デ・ベルクとはちがい、60時間(2.5日)巻のため、シングルバレルになっています。
輪列はコンパクトに折りたたまれ、ケージの外周に直接歯を切ったサスペンデッド・トゥールビヨンを駆動します。
ケージ中央のピニオンから駆動する方式に比べると作りにくそうですが、駆動用の歯車がトールビヨンに重ならないため、見通しが良くなります。
また、ピニオンが出っ張らない分、厚みも薄くすることができます。
時計師のセバスチャン(Sébastien Follonier)氏の"古巣"でも似たような方式を取っていますが、薄さを求めているようです。

ケ・デ・ベルク同様に表面をサンドブラストし、斜めの面取りと側面のポリッシュを組み合わせた一見目立たないけど手のかかった方法で仕上げています。

次は、プレス・ヴァンドームより日本の注目を集めているかもしれないケ・デ・ベルクの38.5mmモデルです。



ジュネーブのイベントでチラ見せの時はローズゴールドのみでしたが、今回はバリエーションが増えています。
向かって一番右はレディースのデザインなので38mmのようです。





ジュネーブでも拝見したローズゴールド・エナメル文字盤モデルです。
ケ・デ・ベルク用ムーブメントSXH1は直径が32mmもあり、パワーリザーブとスモールセコンドの軸も42.5mmのケースに合わせて位置を設定しているとのことですが、サブダイヤルの直径や針の長さを変更してうまくバランスを取って38.5mmに収めています。





ホワイトゴールドモデルです。





ボンベ文字盤のモデルです。
42.5mmケースと同じラインナップだとすると、XOスチールケースですが、フルール・ド・リス針なので貴金属なのかもしれません。
判明しましたら追記します。



レディースの38mmモデルです。
ダイヤルはMOPで、軸位置の問題でサブダイヤルは針ではなくディスクを使った表示になっています。

そして、バーゼル出展ギリギリで完成したというケ・デ・ベルクの42.5mmの新作、"ウエィバ・アンフュランス(wave influence)"です。
"波の干渉"といった意味になります。



ケ・デ・ベルクの特徴的な二つのサブダイヤルを起点に波状のギロッシェを彫り、波の干渉を表現したダイヤル…と解釈しました。





ローズゴールドとフルール・ド・リス針のモデルです。
文字盤はおそらくブルーです。





ホワイトゴールド(?)、モダン針のモデルで文字盤はグレーのようです。





文字盤のクローズアップです。
"干渉"の様子がよくわかり、特にサブダイヤルの間はわかりやすいかと思います。

最後にブースの様子です。



販売用の什器なども徐々に作られているようです。
これはパワーリザーブ表示のサンプルで、左から英語曜日、仏語曜日、アロー(曜日表示なし)です。



"初代"チャペックの広告です。
再興の準備をしている時に発見され、現在のロゴ"CZAPEK"はこれから取られています。
発見以前に案として用意していたロゴと似ていたそうで、シンパシーを感じたという話を以前伺いました。



これはケ・デ・ベルクの名前の元となった初代チャペックがブティックを構えた当時のジュネーブの様子だそうです。
私も探しましたがよくわからなかったので、今度ジュネーブを訪れたときにはザビエル氏に聞いてみようと思います。



プラス・ヴァンドームの名前の元となったパリのヴァンドーム広場。



発表されたどのピースも非常に魅力的で、今回バーゼルに行けなかったのが悔やまれます。
プラス・ヴァンドームも良いですが、伏兵だったウエィバ・アンフュランスは見たかった…

関連 Web Site

CZAPEK Geneve
https://czapek.com/

Noble Styling
http://noblestyling.com/