SIHH2018 ウルベルク AMCプロジェクト 新作実機画像

 By : CC Fan
サテライト・アワーによる独特な時刻の表現、ウィッチを内蔵してユーザーが歩度測定と校正を行えるEMCなどユニークな時計を作り続けるウルベルク(Urwerk)。
"新作"としてチラ見せしていたのは原子時計と同期するAMCプロジェクトの成果でした!

AMCはAtomic Master Clockの略で、"原子時計を標準にして機械式腕時計を自動校正する"というとてつもないコンセプトです。
初代ブレゲが手掛けた懐中時計を置時計にセットすると巻き上げと時間の修正を行うシンパティック・クロックからインスピレーションを得て開発がスタートしたそうです。
EMCの開発期間が2年なのに対し、AMCは8年経ってプロジェクトは継続中で、開発の困難さが伺えます。
また、EMCの緩急調整にはドライバーで調整ねじを回す必要がありますが、AMCはすべて自動で行うそうです。

展示されていたものは二つ、まずはAMCのムーブメント。





EMCとは異なり、こちら側は電子回路が搭載されていない純粋な機械式時計です。
テンワ周辺などはEMC同様、光学的に測定するためと思しき機構が備えられ、緩急針をコントロールする機構?も見えます。



こちらがアルミから削り出した原子時計のケース。
この状態で重量は37kgあるそうです。

ケース中央の細長い部分は原子時計のモジュールが収まる恒温槽だと思われます。
原子時計はルビジウム原子時計を使い、オプションとしてGPSアンテナを設置することで、GPSを一次標準として原子時計の精度をさらに上げることも可能だそうです。
技術的な詳細はまだあまり明らかにはなりませんでしたが、EMCやウィッチのような瞬間の精度だけではなく、12時間ごとずれを測定して歩度設定を決定するなど、積算的な要素もあるようです。



よく見るとTIME standard(時間標準)と彫られています。
同じ文字が彫られていますが、実際には片方が原子時計、もう片方が電源ユニット(パワーサプライ)になるそうです。

このような形で発表するということは"完成間近"…ということのようでもしかしたらバーゼルぐらいでなんらかのアナウンスは出てくるかもしれません。

また、これは完全な私事ですが、MB&Fに居たと思っていた古い知人がウルベルクに移っており、彼から説明を伺いました。



UR-210BPT ROYAL HAWKです。
赤色が非常に印象的です。

ケースはプラチナとチタンにDLCコーティングをかけて黒くしたユニークな造りです。



ユニークな巻き上げコントロールのタービンも備えています。
自動巻きローターに接続されたタービンを加圧することにより巻き上げ効率を変化させたり、巻き上げを止めたりできます。



UR-105CT STREAMLINER。
名前の通り、流線型の列車(ストリームライナー)のような意匠を持ちます。



ハンターケースのように、または列車のボンネットのように、カバーが開き、サテライトアワーの機構を堪能することもできます。



こちらもタービンをコントロールすることで自動巻き効率を変更できます。

毎年ユニークな新作を作り続けるウルベルク、個人的にはEMCでも充分驚きましたが、まだまだ面白いことを行ってくれると思います。

関連 Web Site

URWERK
http://www.urwerk.com/
NXONE
http://www.nxone.jp/