BaselWorld2018 チャペック フォーブル・ド・クラコヴィ クロノグラフ

 By : CC Fan
伝統的な水平分業の体制ながら、CEOのザビエル・デ・ロックモーレル(Xavier de Roquemaurel)氏のイニシアチブにより近代的な垂直統合に勝るとも劣らないスピードでの開発を続けるチャペック(CZAPEK)、私はザビエル氏をはじめとする時計作りの姿勢に賛同し、処女作ケ・デ・ベルク(QUAI DES BERGUES)のオーナーになったことから、特に応援しております。

バーゼルワールドではジュネーブイベントで先行公開されたカラーギロッシェの正式発表に加え、ブランド初となるクロノグラフ、フォーブル・ド・クラコヴィ(Faubourg de Cracovie)を発表しました。

ケ・デ・ベルクとそれに続くトゥールビヨン、プラス・ヴァンドーム(Place Vendôme)が"初代"チャペックが制作したナポレオン三世の時計であるNo.3430の特徴的な意匠を基にしていたのに対し、クロノグラフではよりモダンなダイヤルデザインを取り入れています。
しかし、ケ・デ・ベルクやプラス・バンドームで用いられた、特徴的なリューズガードをもつREVOLUTIONケースや、グラン・フー・エナメルダイヤル、"リコシェ(Ricochet)"ギロッシェといった特徴的な意匠を引き継ぐことで、"チャペックのクロノグラフ"と一目でわかる特徴も持っています。



今回発表されたのは2タイプのリコシェギロッシェ(左と右)とグラン・フー・エナメル(中央)の3タイプです。
ケースは全てXO Steel、これは時計業界ではチャペックのみが使用できるより耐食性の高いステンレススティールです(全容はいまだ謎ですが、以前推理しました)。
188本生産だったケ・デ・ベルクのファーストエディションはケースの種類が豊富でしたが、今回は生産数が各18本という少なさのためか最もブランドの特徴を表しているXO Steelに絞ったようです。



例によって完成はギリギリだったらしく、ムーブメントは一部にしか入っていません。
クロノグラフムーブメントSXH3はボーシェ(Vaucher Manufacture Fleurier)社が今回のバーゼルで発表したクロノグラフムーブメントをベースにチャペック仕様にカスタムしたもの。
古典的なダイヤルに対し、自動巻き、垂直クラッチ、10振動/秒(36,000振動/時)と極めて現代的な最新鋭ムーブメントです。

このムーブメントはまだプロトタイプであり、最終的にはケ・デ・ベルク(SXH1)やプラス・ヴァンドーム(SXH2)と同様の表面をサンドブラスト、エッジ部分を面取りと鏡面で仕上げた仕様にするそうです。
現在、ボーシェ社と最終調整中とのことで、サンプルの部品を拝見できました。



ムーブメントメーカーは変わりましたが、"総監督"のザビエル氏が目を光らせているので、世界観は維持されるはずです。



仕上げ以外もカスタムされています。
サブダイヤルが3つある、いわゆる三つ目クロノですが、12時間積算計と30分積算計が大きく、軸がわずかに12時方向にオフセットしているのがわかりますでしょうか?
ベースとなったボーシェ社のムーブではこの軸位置は時分針と同じ高さなのに対し、SXH3仕様にする際にカスタムしたそうです。



ムーブメントの拡大です。
これはまだボーシェ標準仕上げとのこと。
先ほどのブリッジはどこに?



ボーシェはチャペックのはす向かいにブースを出していました。
こちらも後程レポートします。



とりわけ古典的なグラン・フー・エナメルダイヤルモデル。
クロノグラフプッシャーはREVOLUTIONケースのリューズガードと一体化された構造になっているため、一見するとクロノグラフと気が付かないかもしれません。
リューズガードの造形や押し心地は"調整中"とのことで、変更の可能性があるそうです。



リコッシェギロッシェのブルー・アワー(L’Heure Bleue)。
モデル名は空が青く染まる時間を表した公開用語からの命名です。
サブダイヤルを中心とした二つの波の"干渉"という基本は同じですが、サブダイヤルの位置と波の彫り方が変わっているためだいぶ表情が異なります。



リコッシェギロッシェのディオネ& レア(Dioné & Rhéa)。
こちらは色違いのサブダイヤルを木星の衛星の名前(ギリシャ神話の神の名前)になぞらえています。



実は、ジュネーブでザビエル氏とお会いした時にモデルの概要やボーシェ社のムーブメントを使うという話を聞いており、その時には特にムーブメントメーカーやデザインの変更によりチャペックのイメージから外れたものができてしまうのではないか?という危惧がありました。
しかし、出来上がってみれば各部は大胆に変更されたものの、ちゃんとケ・デ・ベルクやプラス・ヴァンドームの流れに沿った"チャペックらしい"と言える作品に仕上がっており、安心しました。
彼が"総監督"である限り、ブランドが迷走することはないでしょう。

ザビエル氏のイニシアチブを表すエピソードを一つ。
ジュネーブイベントでKIHさんがカラーギロッシェ4本に対し、"これはユニセックスなデザインとサイズだから、共有するカップルがお互いにその日の気分で自由に着けられるよう、簡単に交換できるベルトと4本のセットにするべきでは?"という提案をしたところ…



4本セットと交換用のベルトが収まる専用ボックスのプロトタイプがバーゼル会場に!
ユーザーからのフィードバックに耳を傾け、良いと思ったアイディアは即座に実行する素早さとても素晴らしいです。

最後に、公式のプレスリリースを掲載いたします。

Czapek & Cie.社は、成⻑を続けるエレガントなウォッチ・コレクションに加わるニューモデルを発表します。
Faubourg de Cracovie(フォーブル・ド・クラコヴィ)は、伝統的な洗練さと、クロノグラフ機能の魅⼒的なツイストを組み合わせています。このコレクションには、スイスの優れたクラフトマンシップを反映した3つのダイアルがあります。

「ファーストモデルでの高貴なロマンティックに続いて、今回はクロノグラフを導入することで、活気や元気さということを提供します。」とCzapek & Cie社のCEO Xavier de Roquemaurel(ザビエル・デ・ロックモーレル)は述べています。「これは伝統的であるが、モダンな感覚をもった、まさしく私たちの最新モデルです。最新作Faubourg de Cracovie(フォーブル・ド・クラコヴィ)のケースサイズは41.5mmで、Quai des Bergues(ケ・デ・ベルク)のレボリューション・ケースを採用したXOスティール、またはチタニウム製です。リューズガードもそのまま存在していますが、このモデルでは、プッシャーとして独創的な役割を果たしています。

エッジの効いたサファイアクリスタルの下にあるダイアルも、間違いなくCzapekであることを示しています。2つの大型のサブダイアルは3時と9時の位置にセットされ、それぞれが積算カウンターの役割を果たします。スモールセコンドは日付表示とともに6時位置にあります。繊細なクロノグラフ針は、先端を鮮やかなスカーレット・レッドにすることによって際⽴ち、同⾊で仕上げられたXIIまたは60の表示と呼応します。

Faubourg de Cracovieには、2種類のダイアルがあります。Quai des Berguesコレクションで採用された魅惑的な「Ricoche(リコシェ)」ギョーシェが施された、ロイヤルブルーまたはブラック。交差する円形のラインは、ダイアルを生き生きとさせる浮き彫りのようなパターンを形成し、⽯切りで⽔が跳ね返るときに⽯がつくるかもしれない波の⼲渉パターンを思い起こさせます。この伝統的な技法は、繊細なダイアル製作の鍵となるマシンである、18世紀後半に考案された旋盤でしか実現できないものです。このRicochetデザインは、François Czapekの作品に倣ったものです。

もうひとつのダイアルは鮮やかなグランフー・エナメルで、それは、おそらくモダンなクロノグラフでは、もっとも予期しない組み合わせで、さまざまな機能表示とスケルトン化された針とのコントラストを提供します。サブダイアルは技術的に可能な限り、最大限に大型化され、視覚的バランスが向上しています。ダイアルのシェイプは「ボンベ」スタイルで、Donze Cadran社の技術的優位性と、Czapekのスピリットを示したものです。最後に、シークレット・サインが、このエナメル・ダイアルを飾ります。

3つのニューモデルは、「Grand Feu(グランフー)」、「L’Heure Bleue(ブルー・アワー)」、「Dioné & Rhéa(ディオネ& レア)」と命名されました。最初の名前の説明は文字通りですが、他の2つは自然に関連するロマンティックなインスピレーションに由来します。”Heure Bleue”、つまり”Blue Hour”は、⽇の出前と⽇の⼊り後に発⽣する、空が濃い⻘⾊に染まる時間帯を指す航海⽤語のことです。晴れた⽇には、このブルー・アワーは、⽬を⾒張るような壮観な光景となり、多くのアーティストにとっても秘蔵の瞬間となっています。一方、”Dioné & Rhéa” は、イタリアの天⽂学者、カッシーニより発⾒された土星の4つの衛星のうちの2つの名前で、ギリシャ神話に登場する2人の神に由来するものです。リコシェ・ギョーシェが施されたブラックに浮かぶ2つのサブダイアルは、2つの白い衛星が暗い空の中で輝いているかのようです。

Czapek社初のクロノグラフには、自社製のコラムホイール式、自動巻きムーブメントSXH3が搭載されています。このムーブメントは、スイス時計産業の発祥地であるジュラ山脈にあるVaucher Manufacture Fleurierの著名なウォッチメーカーにより開発されました。このCzapek社ムーブメントは、同時に発表されたVaucher Manufacture Fleurier社のクロノグラフ・ムーブメントをベースとしています。シングルバレルから供給されるパワーリザーブは約65時間、振動数は36,000 A/hです。このムーブメントは、リニアハンマーのようなもっとも⾼度で効果的なメカニカルな要素のいくつかを利⽤して、パーツの磨耗を減らし、関連するダイアル上の表⽰機
構を容易にリセットすることができます。クロノグラフ機構に対するモダンなソリューションである垂直クラッチは、クロノグラフ針の完璧なスタートを保証します。最後に、ダイアモンド・ブラスト仕上げ、アントラサイトのブリッジは、サファイアガラスのケースバックを通して⾒ることのできるムーブメントに趣きをもたらします。

Faubourg de Cracovieクロノグラフは、同社の3番目のコレクションで、Czapekが1850年、ポーランド、ワルシャワに開いた3番目のブティックの場所にちなんで命名されました。ムーブメントに関しても、François Czapek(フランソワ・チャペック)が活躍した、有名なスポットの名称に由来するQuai des Berguesの手巻きの7日巻き、Place Vendôme(プラス・ヴァンドーム)のGMT機能を備えたサスペンド・トゥールビヨンに続く、3番目のムーブメントです。Faubourg de Cracovieは、Czapek社の現代におけるもう一つのマイルストーンを表しています。このコレクションは、2018年6月30日、発売開始予定です。

共通仕様
FUNCTIONS
- 時・分表示
- スモールセコンド(6時位置)
- セミ・インスタンテニアスの日付表示(6時位置)
- クロノグラフ
- 30分積算カウンター(3時位置)
- 12時間積算カウンター(9時位置)

MOVEMENT
- キャリバーSXH3 : クロノグラフ機能搭載の自動巻きビスポーク・ムーブメント
- パワーリザーブ: 約65時間シングルバレル
- 振動数: 36,000 VpH (5Hz)
- 径: 30.0mm(13 ¼リーニュ)
- 厚: 6.95 mm
- クラッチ方式: 垂直クラッチ
- ダイアモンド・ブラスト仕上げのブリッジ
- コリマソン仕上げ
- COSC

CASE & BRACELET
- XOスティール
- ケース径: 41.5 mm
- 両面に無反射加工がなされたドーム型サファイア・クリスタル
- 両面に無反射加工がなされたサファイア・クリスタル製のケースバック
- 防水性: 5気圧防水(5 atm)
- アリゲーター・ストラップスティール製のバックル

Grand Feu(グランフー)
DIAL
- 「グランフー」エナメル
- Czapekのシークレット・シグニチャー
- Czapek ブランドを強調する⻑めのローマン・インデックス
- 「XII」はスカーレット・レッド

HANDS
- ブルースティール

L’Heure Bleue(ブルー・アワー)
DIAL
- ゴールド、シルバー、パラジウム、プラチナの合⾦
プレートに、手作業によるアクアブルー・ギョーシェ
- 1850年代のCzapek のギョーシェにヒントを得た
「Ricochet(リコシェ)」ギョーシェ

HANDS
- スティールロジウム仕上げ

Dioné & Rhéa(ディオネ& レア)
DIAL
- ゴールド、シルバー、パラジウム、プラチナの合⾦
プレートに、手作業によるアクアブルー・ギョーシェ
- 1850年代のCzapek のギョーシェにヒントを得た
「Ricochet(リコシェ)」ギョーシェ

HANDS
- スティールロジウム仕上げ

関連 Web Site

CZAPEK Geneve
https://czapek.com/

Noble Styling
http://noblestyling.com/