アンジェリコ ロングレバー デテントとトゥールビヨン ケーブル フュゼ 絶対精度のビジョン

 By : CC Fan
クリストフ・クラーレ(Christophe Claret)、我がハンドルネームCC Fanのルーツであり、カンタロス(Kantharos)がWMOでも話題を振りまいているマニュファクチュールです。
ここ数年、いろいろ"迷走"が目立ち、オーナーの立場でも正直な話をすると素直に応援できていなかったこともありました。

何度か裏切られたものの、今年こそは大丈夫…と信じていました、なぜなら2019年は2009年から始まったクリストフ・クラーレ名義のブランド10周年であり、母体となるマニュファクチュール・クラーレ30周年の節目の年だからです。

期待を裏切らず、20周年記念かつブランド創業モデルとなったDualtow(ムーブメントCC20A:Christophe Claret 20th Aniversary)にも匹敵する超大作、ロングレバー デテント トゥールビヨンとケーブル・フュゼを備えたアンジェリコ(Angelico)が登場しました!



まずは公式リリースを掲載しますが、公式に日本語版が用意されていないため、英語版をもとに私が和訳したものを掲載し、この記事もニュースではなくブログとして公開いたします。
多少なりとも変なところがあるかと思いますが、ご容赦ください。

Angelico
ロングレバー デテント トゥールビヨン ケーブル フュゼ
絶対精度のビジョン

2019年、Christophe Claretは2つの記念日を祝います: マニュファクチュールの創業30周年とクリストフ・クラーレブランド創立10周年です。これからも高級時計製造の技術領域を探求し続けるとともに、アニバーサリーとしてトラディショナル・コンプリケーション・ウォッチのコレクションを充実させ、限定版のモデルを加えます。 腕時計の中で初めて、アンジェリコはロングレバー デテント エスケープメント トゥールビヨンとケーブルタイプのフュージートランスミッションシステムを組み合わせています。 絶対精度の探求を魅力的なショーにします。



高級時計製造の歴史の中で新しい章となる、Angelicoは、18世紀の海洋クロノメーターによって実現された絶対精度の探求に対する現代的な解釈です。 クリストフ・クラーレは腕時計ではじめて、ロングレバー デテント エスケープメントトゥールビヨンとケーブルタイプのフュージートランスミッションシステムを組み合わせました。 伝統的な時計学に新たな地平を広げるこの機械的な偉業は、デイ&ナイトと72時間のパワーリザーブ表示を備えたインスタントジャンプ表示のデュアルタイムディスプレイと共に配置されます。

イタリアのルネッサンス期の「天使の画家」、フラ・アンジェリコの名を冠したこの時計は、時計製作の崇高な血統を祝っています。 その名に相応しい芸術:クリストフ・クラーレによる真の「アートのためのアート」。

伝統的な時計製造の芸術の驚異的な具現化

完全に安定した姿勢で動作するように設計された機構である伝統的なロングレバーデテント エスケープメントを備えたトゥールビヨンを腕時計に装備することは、“Soleil d’or”マニュファクチュールのウォッチメーカーの本物の挑戦です。
時計の精密さの真髄とみなされるこのタイプのデテント エスケープメントは、18世紀初めに、ウォッチメーカーが海上での船の正確な地理的位置を決定するのに役立つ最高精度の計時器(クロノメーター)を作るために競い合っていた時に現れました。 ジンバルに搭載されたマリンクロノメーターに組み込まれたこの機構は、長期的な航行において充分な精度と信頼性を示しました、 しかし、手首に装着できるような頑丈さはありません。



クロノメトリーに対する真の純粋主義者であるクリストフ・クラーレは、アンジェリコの時計に最も複雑なロングレバー デテント 脱進機を選択することを選びました。 デテントが回転しすぎるのを防止するために、テンワと一体化されたアンチピボットカムがセーフティーフィンガーと組み合わされ安全を確保します。 Maestosoですでに信頼性が証明されたこの素晴らしい仕組みは、トゥールビヨンではじめて採用されました。

オーバーバンキングのリスクに対処するために、歯車に取り付けられ、テンワに接続された柔軟なスラストベアリングは、余分なエネルギーを吸収します。 繰り返します、この挑戦は限られた偉大なウォッチメーカーのみが行うことができる偉業です。

腕時計アンジェリコの中心に立つトゥールビヨンは、重力の影響を減らすために、6分間に1回転する堂々としたダンスを演じます。 Christophe Claretは軽量で有名な2つの素材に焦点を当てています。トゥールビヨンキャリッジはチタン製、ブリッジはアルミニウム(316AL)製です。 大きな16ミリメートルの直径のケージから、魅力的で希少な機械の芸術であるデテント エスケープメントの美しさを余すところなく堪能することができます。

コンスタントフォース

クロノメトリック(時間精度)パフォーマンスの追及は終わりのない挑戦であり、野心と情熱です。これら3つの力が、マニュファクチュール・クラーレで2009年以降に開発、設計、組み立てられた時計の創造を推進しています。アンジェリコの心臓部であるロングレバー デテント トゥールビヨンに加え、ダブルバレルにリンクされたケーブル式フュゼ変速機構によってもたらされるコンスタントフォースも与えられます。伝統的にチェーンが使用されるこの装置は、ムーブメントに一定のエネルギーを供給するために開発され、再びクリストフ・クラーレの革新的な開発能力を実証しています。 Dyneemaナノファイバーケーブルを使用してダブルバレルをフュゼに接続するという前例のない選択をしました。これには2つの理由があります。 1つ目は、従来のチェーンに伴うリンク間の摩擦をすべて除去することで効率を最適化することです。もう1つは、パワーリザーブの全域に対し正確に変速比を調整することです。ケーブルがフュゼとバレルに巻き付けられる回数は、チェーンを備えたシステムの2倍です。



直径0.18mmの極小のワイヤーは3本の毛の束に相当するサイズでしかありませんが、このケーブルは非常に強固です。 一例として、このケーブルは、約10キロの重量を引くのに十分な強度を有しています。 このような強度は、明らかに、Angelicoのムーブメントにエネルギーを伝達する用途には過剰ですが、十分なケーブルの堅牢性は信頼性を真に保証します。 特に、あらゆる破損のリスクを避けるために、結ばれた後、バレルとフュゼの周りに重ね合わせて巻き付けられる。 このシステムは、貨物積付けの安全確保に使用されるセルフロック原理に基づいて、ケーブルに加えられる力の完全な分配を保証します。 最適な性能を達成するように設計されたダブルバレルのブリッジにケーブルの巻線は72時間のパワーリザーブを表示します、フュゼブリッジには”STOP WORK”表示があり、巻き終わりを表示します。



時間は主役を演じる

機械的な挑戦はウォッチメーカーの重要な焦点ですが、時計として時間を読みやすいようにする必要があります。 アンジェリコの心臓部のステージでは、読みやすい時間表示を実現するため、2つの時間帯は、デイ/ナイトの表示とともに、5時位置および7時位置のカウンタで表示されるインスタントジャンプ表示によって示されます。 メカニズムの本質的な美しさを妨げないように、赤色のゴールドバージョンには天然レッドルビー、チタンバージョンには青色のサファイアで装飾されたペリフェラルハンドで分が表示されます。



審美的な観点から、Angelicoは機械の美しさを堪能することができます。 ドーム型クリスタルを頂いた45.50mm 5Nレッドゴールドまたはチタンケースは、細部まで見渡すことができます。 技術的に最も洗練はされた、手作業で仕上げられたシャルル10世様式のブリッジや、レッドルビーやブルーサファイアの下に隠されたエスケープメントのショックアブソーバー、クリストフ・クラーレの審美的なシグネチャーなど、全てが完全に仕上げられています。サファイアクリスタルのケースバックを通してショーが続き、インスタントジャンプのデュアルタイム機構の動きを堪能する機会を提供します。

5Nレッドゴールドまたはチタンの10ピースごとの2つの限定版で販売されるAngelicoは、Christophe Claretが彼のブランドで10年にわたり華麗に描いた伝統的な時計製作と創造性の完璧な融合を体現しています。 この時計を保証するために、ウォッチメーカーはすべての時計の保証期間を5年間に延長しています。Christophe Claretは審美的な調和と技術的な革新の調和による美しい時計製造を行っています。。

技術仕様

ムーブメント:
キャリバー: DTC08, 機械式手巻き

サイズ: 直径: 41.10 mm
高さ: 14.20 mm (時間表示を含む)

部品数: 470
石数: 62

香箱: 二つの並列に配置された香箱

パワーリザーブ: 約72時間

脱進機: ロングレバーデテントトゥールビヨン ケーブル フュゼ
振動数: 2.5 Hz (18,000 振動/時)

機能: 時分(デイ・ナイト付きインスタントジャンプデュアルタイム)

ケース:
直径: 45.50 mm
高さ: 17.45 mm
防水性: 30 m (3 ATM)

Reference: MTR.DTC08.000-010
Case: 5N red gold
Hand: 4N pink gold with a natural red ruby
Strap: black alligator leather
Limited series: 10



Reference?: MTR.DTC08.020-030
Case: grade 5 titanium
Hand: white gold with a natural blue sapphire
Strap: black alligator leather
Limited series: 10



プレスリリースここまで。

いかがでしょうか?
技術的に面白く、作品としても"時計"としてもきちんとまとまっている作品ではないでしょうか。
クラーレを見くびっていたな、と思うのはマエストロ(Maestro)のドーム型ケースや色付きテンワを"一発ネタ"で終わらせず、新しいブランドのスタンダードに育てていこうという気概があったということです。
また、同じくデテント脱進機を使ったマエストーゾ(Maestoso)と比べ、内情を伺うと"なるほど"と思う改善点もあり、デテントをそのまま腕に乗せるというクラーレの野望をあきらめていなかったことに感動します。
デテント好きの私としては応援したい。

この記事のエンバーゴ(解禁時間)にはSIHH開幕、クラーレは当然初日に行くアポを取り付けてあるので技術的な考察も含めた詳細速報はASSP(なるはや)で公開します!

関連 Web Site (メーカー・代理店)

CHRISTOPHE CLARET
http://www.christopheclaret.com/

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