ヴィアネイ・ハルター ランチ・インタビュー

 By : CC Fan
10年ぶりの来日となったヴィアネイ・ハルター(Vianney Halter)氏、すでにゲストブロガーのharuさんから関西イベントの様子がレポートされていますが、私の方で関東イベントのレポートをお送りいたします。
メインとなるヒコ・みづのジュエリーカレッジ専門学校の時の記念日に合わせた時計フェスタに先立ち、WMOとしてランチ・インタビューの機会をいただくことができたのでその様子からレポートします。

“次“のタイムピースの話や、今まで25年の独立時計師生活の話はヒコ・みづので話す…と伺っていたので、純粋に再会を祝した感じと、公衆の面前では聞きづらいことをぶっちゃけるインタビューになりました。



何はともあれ、楽しそうな一枚を。
ヴィアネイと、販売店の小柳時計店の小柳社長。
ランチではありますが、ビールがなくては始まらない…とビールを飲むヴィアネイ。

SIHH(1月)に会って、バーゼル(3月)にも会ってるので、あんまり久しぶりって感じもしないです。
現在は、20周年記念のアニバーサリーを作っているんだ!と。
アニバーサリーは20本限定ですが、工房としてのキャパシティは年産15本程度とのこと。

ヴィアネイは現在56歳、工房は最大時で20人ほど雇用していたものの、リーマンショック(2009年)の影響で規模を縮小、現在は数名のみで、ヴィアネイもベンチ(時計師机)に戻ったそうです。
"ベンチに戻ることができたから不景気も悪くはなかった"という前向きな姿勢を語っていました。



アニバーサリーは同じく独立時計師のアンドレアス・ストレーラとのコラボレーションによるムーブメントを搭載し、20周年にちなんだ20本限定。
20本それぞれに異なるメッセージが記載され、20本集まったときに真のメッセージが再生させる…という趣向を凝らしているそうです。



ヴィアネイが腕に着けていた、ディープ・スペース・トゥールビヨンはもちろん素晴らしい…
このドーム状の風防はロット数が少ないのと加工が大変(サファイアクリスタルの塊から削り出す)ので"非常に高価"だそうです。



何度見ても、いつまでも見続けていられそうな複雑な動き…
真ん中のトゥールビヨンを外周部の"アンテナ"時分針が指し示すという三軸トゥールビヨンに最適化した構造を持っています。

さて、リーマンショックでベンチに戻った話から始まり、現在の工房は数人という規模と伺いました。
現在は、自分のペースで納得のいくものを作っているそうです。

ヴィアネイと言えば、"良くも悪くも"有名となったのはHarry WinstonとのコラボレーションOPUS3でしょう。
以前の記事にも載せましたが、これについて思うところを聞かせてほしいとお願いしました。



ヴィアネイ曰く、"OPUSは自分の3で方向性が決まった"と考えているそうです。

これは、ニューヨークからハリー・ウィンストンのロナルド・ウィンストンが工房を訪ねて来た時に、ヴィアネイのタイムピースに感動し、アンティコアをその場で購入、さらにヴィアネイに自由に作品を作る裁量を与え、OPUSは"独立時計師の既存のタイムピースをハリーウィンストン調に変えたもの"から"OPUSの為に完全にユニークな作品を作る"方向に変わった…そうです。
そしてその方向性が最も発揮されたのは自身の3のほかには5(ウルベルクのFelix Baumgartner氏とMartin Frei氏のコンビ、OPUS5で新規開発されたキューブ表示機構はウルベルクのタイムピースにも応用された)とのこと。

これはヴィアネイの立場からの意見ではありますが、確かに、ラインナップを見ていくと私は納得感があると感じました。
OPUS3はいろいろ逸話(書けない)があるものの、間違いなく歴史に残る傑作の一つだと思います。

そのほか雑談しながら近況や、Instagramはヴィアネイの娘さんが担当している…というアットホームなエピソードも…



どうせならと、小柳さん提供のルーペシステムを使い、マエストーゾを細かく観察するヴィアネイ…



デザートには小粋なメッセージが!



楽しそうで何より…
ヴィアネイとしても、今回の来日で時計学校の学生と触れ合えるのを楽しみにしており、このような講演を行ったことはほとんどないそうで、今回は思った以上に貴重な機会となったようです。
より、"真面目"な話は次の日のヒコ・みづのジュエリーカレッジ専門学校でということで…



最後に決めポーズで一枚!



次の日も朝からよろしく!と言って別れます。



気になったこのかばんが何なのか、伺うのを忘れていた…

ヒコ・みづのジュエリーカレッジ専門学校の講演に続きます。


関連 Web Site

Vianney Halter
http://www.vianney-halter.com/index.php

コンタクト
contact@vianney-halter.com

小柳時計店
http://www.koyanagi-tokei.com/vianney-halter.html