クリストフ・クラーレ アンジェリコ 実機速報

 By : CC Fan
ブログでニュースを翻訳した速報をお伝えしたクリストフ・クラーレ(Christophe Claret)のアンジェリコ(Angelico)。
2009年から始まったクリストフ・クラーレ名義のブランド10周年と母体となるマニュファクチュール・クラーレ30周年を祝うアニバーサリーピースです。
マエストーゾ(Maestoso)と同様、マリンクロノメーターに用いられた高精度なデテント脱進機を"腕時計化"するというとてつもない目標を掲げています。
技術的にいろいろとまとめてからお伝えしたいことはございますが、速報としてインプレッションをお伝えします。

※写真について一点謝らなければいけないことがあり、今回カメラ専用機を成田-ドバイ便に置き忘れるという失態をしてしまい、この記事の写真はほとんどiPhoneで撮影しています。
手ブレやらピンボケした写真があり一部お見苦しいかと思いますが、カメラは既に回収済みですので、SIHH期間中に改めてフォトシューティングタイムを設けて写真を撮りなおし、技術詳細時にはそちらを掲載します。

まずは集合写真から。



マエストロ(Maestro)と同様のドーム型風防を持ったピースで、ローズゴールドとチタンの2バリエーション。
文字盤に相当する面にムーブメントの主要パーツを配置するアップサイドダウン(逆立ち)型のムーブメントなので、ムーブメント表面処理の色もケースにあわせています。
さらに、ケース色に合わせ、ローズゴールドには赤色の機能パーツや石(ルビー)が、チタンには青色の機能パーツや石(サファイア)が組み合わされるのもマエストロと同様です。



堂々たる"主役"は6時位置に配された大型のフライング・デテント・トゥールビヨン。
デテント特有の小気味よい脱進音を響かせながら、6分で1回転します。
個人的には姿勢差の改善云々ではなく、デテント脱進機の芸術的な造形を全角度から余すことなく堪能するための機構と理解しました。
オフセットされたテンワの中心にある振り石をガンギ車がダイレクトにたたいている様子も分かります。



もう一人の主役は一定トルクを実現するケーブル・フュゼ、同様の仕組みでチェーンを使ったチェーン・フュゼが有名ですが、ワイヤーを使ったケーブル・フュゼも考案されていました。
おそらく、考案された時代の技術では長期的に伸びず・切れない信頼性の高いワイヤーを作ることができなかったため、比較的容易に作ることができるチェーンが広く使われるようになった…のではないかと考えられます。

今回、X-TREM-1に使われているのと同様のダイニーマ(Dyneema:超高分子量ポリエチレン)のワイヤーを使用することでチェーンよりも優れた特性を持つフュゼシステムを構築しました。
これはしなやかなワイヤーを使うことでリンクごとに摩擦抵抗が発生するチェーンよりも抵抗を減らすことができ、さらに太さも細いためチェーンの2倍の距離(=香箱の回転数)を巻き付けることができるため、フュゼの変則比の変化をより細かくできることがメリットとされています。

"主役"を邪魔せず、なおかつ読みやすいという相反する要求を満たすため、時間表示はジャンピングによる数字表示(4時位置と7時位置)、分はムーブメント外周のスリットをポインター(写真では54分)が通過するミステリーハンドになっています。
時間表示はそれぞれコレクターによってクイックに修正でき、それぞれにデイ&ナイトも備えます。



ジャンピング表示を駆動するシステムはムーブメント側から堪能できます。
分を駆動する歯車(1時間で1回転)につけられたスネイルカムがレバーを徐々に押し上げ、ヒゲゼンマイにエネルギーをチャージします。
スネイルカムの段差にレバーが落ちると、時間ディスクにつながる星形の歯車をレバーが弾き、時間を進めます。
コレクターから伸びたレバーによって手動で送ることもでき、その場合は分からのレバーの先端は機構保護のため空振りするようになっています。



ピンボケ気味ですが、ワイヤーの密度間、ムーブメントの立体感が伝わりますでしょうか。
チェーン・フュゼに比べワイヤーはより高密度に巻けることがわかるかと思います。
さらにカラフルなワイヤーであることを利用し、巻いてある量を直接目で見てパワーリザーブの残量を確認できる、"直読式"パワーリザーブインジケータの表示にもなります。



ピンボケ…立体感は伝わりますでしょうか。
ワイヤーの赤色はかなり主張が強いです。



トゥールビヨンケージの上に載っているデテント脱進機も立体的な構造なのは伝わりますでしょうか。



元祖デテントのマエストーゾと。
シルバーのチタンに赤色を組み合わせたピースも見てみたい。
マエストーゾから何が変わって、何が変わっていないかを見てみるとデテントを腕時計化する苦労がわかる気がします。



リストショット、数字上はカンタロス・マエストーゾと同じぐらいのサイズですが、ベゼルレス・ドーム風防はデザイン的に大きく感じます。
ストラップ固定システムは以前の完全に固定してしまうもののほうがバランスが取れていたと思います。



マリンクロノメーターに搭載された機構ということで、キービジュアルは船と大型のアンジェリコ。
その前でポーズを決めるクリストフ・クラーレ本人。



もちろん、腕にはアンジェリコ。
彼はデテントが持つ脱進機の構造的な美しさが好きで、何とか腕時計にしたいという野望のためDTC07(マエストーゾ)では8年を費やして研究開発を進めてきました、アンジェリコもDTC08なので数字部分が西暦だとすれば10年近くかけていることになりますが、一度聞いてみたいと思います。

同じく"デテントマニア"の私としては応援したいピースです。
技術的な詳細についても追ってレポートできればと思います。



おまけ、今回はSIHHにつれてきてもらえたカンタロスの"同胞"と。
どちらが私のピースでしょう?

関連 Web Site (メーカー・代理店)

CHRISTOPHE CLARET
http://www.christopheclaret.com/

Noble Styling Inc.
http://noblestyling.com/