カンタロス オリジナルストラッププロジェクト with ジャン・ルソー

 By : CC Fan

"里帰り"し、代わりにマエストーゾ(Maestoso)を借りた、カンタロス(Kantharos)はまだ帰ってきません。
マエストーゾは楽しいものの、あまり自分の時計といった感じがしないので、そろそろカンタロス返してほしいなーと思いつつも下手にリミットを切るとアレなこともあり放置中です。
バーゼルワールドでクリストフ・クラーレ本人が、今俺が身に着けてテストしているんだ!と言いながら上機嫌(意味深)で歩いていましたが、そのあとマネージメントサイドからもう少し様子を見たいという連絡、その後クロノ機構の一部に気になるポイントが見つかったので作り直しを決定、部品が届いたという連絡を最後に音沙汰がなくなった…という状態です。
そろそろメールするかな…?

さて、カンタロスのために2年ぐらいかけていろいろ話をしていたものの、肝心なタイミングでカンタロス本体がいないという状態で伸ばし伸ばしになっていたプロジェクトがあります。
本当はカンタロスができた状態で公開したかったのですが、いったん前編としてまとめたいと思います。

ジャケ・ドローのグランウールGMTのストラップを長さぴったりのカスタムで作っていただいた革メゾン、ジャン・ルソー(JEAN ROUSSEAU)にカンタロスのベルトもお願いできないかいう話をしていました。
ジャン・ルソーはフランスのブランドですが、銀座に工房をを備えた直営ブティックがあり、日本国内でカスタムオーダーに対応することができます。
個人からの注文のほか、ブランド経由の純正型紙によるカスタムオーダーも行っています。

カンタロスのストラップは特殊な固定方法によって固定されているため、純正以外の選択肢がなく、純正では黒とステッチのバリエーションしか用意されていません。
通常のばね棒を使って固定することもできそうですが、アタッチメント部分のピンが見えてしまいあまりよくない外見になりそうなので、躊躇してしまいます。

今回は、既存のストラップからアタッチメントを取り出し再利用することをリスクをとって挑戦していただくことにしました。



使い古したストラップからアタッチメントを取り出します。
アタッチメント自体は強化樹脂?のような素材でできており、ストラップ本体より耐久性はありそうです。
この中に特殊なねじ止め構造のばね棒が入るのですが、それはすでに取り外し済み。
裁断して調整する構造のため、ベルト穴が複数開いています。



裁断前の革、こうやって見るとワニだな…という見た目。
ジャン・ルソーブティックのオーダーでは標準の色見本だけではなく、"実際に使う革"を見比べて選ぶこともできます。
同じ色番号でも天然ものゆえ個体差があるため、実物を見ながら選べるのは魅力的です。



竹斑の部分を大胆に切り取ります。
使用済みのベルトからぴったりのサイズをコピーする方法なので、使用素材も最小限でエコかも?



切り出した革材料。
表はアリゲーター、裏地は汗に強いラバー素材をチョイス。
純正ではカーフレザーなので、夏場に向けた汗対策で使ってみよう…と思ったものの夏までに帰ってくるかな!?



裏から革をスイて適切なカーブになるように調整します。
この調整は長年培われた職人の感覚によるもの。



取り外したアタッチメントパーツを芯材に取り付けます。



組み立て前のパーツたち。
クラーレのベルトは比較的ラグ側が盛り上がっていて、ラグに段差なくつながるデザインのため、それに合わせて芯材を盛り上げる形になります。



専用のノリをつけて、貼りあわせて組み立てていきます。



芯材が完成したところ。
ラグ側に追加の芯材が入り、盛り上げられていることがわかります。



表革まで貼りあわせた状態。



縫製作業。
ハンドステッチ仕上げをお願いしたので、手による仕上げ。
ステッチの色を実物と合わせながら選べ、豊富な経験からアドバイスもいただけます。



完成!
長さぴったりに作ることで、バックル取付穴も1つになり、バックルぎりぎりまでステッチを入れることを狙いました。
裁断して長さを調整するというシステムの都合上、純正ではステッチは一番短いところまでしか入れられません。
また、私のサイズだとベルトが上下で違うサイズになるのですが、ステッチが違う入り方になっているのが気になっていました。

さらに、使わない穴が開いていることでそこからベルトが劣化する原因ともなります。



純正を再掲。
ステッチが浅いのがわかりますでしょうか?

さて、後編(カンタロスに合体)はいつ掲載できることか…
マエストーゾでもたぶん同じ部品だとは思いますが、ラグの形状が微妙に違うので、カンタロスと組み合わせたいところ。
ジャン・ルソーさん、無茶なオーダーとWMO掲載用の写真撮影まで快く引き受けてくれてありがとうございました。

オーダーメイドでは相談しながら自分仕様のストラップを作ることができます。
グランウールの時もDバックル専用の定革なし、厚みを調整して装着感を向上させる、長さぴったりというベルトで非常に良かった覚えがあります。

最近乱立しているワンタッチ交換ベルトは純正以外使えないですが、相談してみるのもありかも!?

関連 Web Site

ジャン・ルソー
https://www.jean-rousseau.com/ja/